(記者)
すいません、静岡新聞です。盛土の問題について伺いたいと思います。すいません。日向の盛土についてなんですけれども、先日、知事が視察された時にもおっしゃってたと思うんですけれども、この盛土の罰則が弱くてですね、業者は是正に応じていなかったということが、私の取材でも確認できました。2006年に指導していた際に、その時には、罰則のことを業者に紹介したんだけれども、罰則が罰金2万円ということで、罰金2万円を払えばいいんだろうと言われて、業者が対応しなかったということを静岡土木でおっしゃってたんですけれども、一方で、大阪府でですね、同じような、同じようなといいますか、盛土崩落事故が起きた際に、大阪府は砂防条例を改正して、翌年に罰則を強化しています。で、当時、静岡県の方は罰則を強化しなかったんですけれども、同じような対応をとっていたとすれば、こんな巨大な盛土というのは造成されなかったと思うんですけれども、知事は、その辺のところ、どうお考えでしょうか。
(知事)
あの条例に基づきまして、県としては、その都度、丁寧に対応してきたと私は思っておりますが、残念ながら、当事者の方で、今、あなたが紹介されたような対応をされてですね、巨大な盛土になったということですね。それは反省しています。
(記者)
なぜ罰則が弱くて是正に応じられなかった、応じなかったときに、すぐに罰則を強化しようとしなかったのか。知事の就任前だと思いますけれども、なぜそういうことになったのかというところは。
(知事)
今回、熱海土石流のいう大きな惨事があってですね、目が覚めたっていうところもありますね。ですから、大阪のみならず、条例を強化し、また、実質、国をも動かしまして、盛土の規制法もできるってことになりました。だから、犠牲者を二度と出してはならないという気持ちがありまして、現在は、こういうことが起こらないようにということで、盛土条例も制定したということでございます。
(記者)
先ほど御紹介した大阪では、熱海の土石流のように28人に亡くなるということが起きてなくて、人、別に、人的被害なかったんですけれども、それでも条例を改正して、砂防条例を改正して、さらに重要なところで言うと、砂防条例を改正するのと同時に、大阪は盛土、盛土規制条例がなかったので、盛土規制条例も新たに作って、両方2本立てでやってるんですね。ですから、これ、もっと早く静岡県の方もそういうような対応していれば、熱海の土石流というのは防げたんじゃないんでしょうか。
(知事)
まあ、ともかく、大きな犠牲者が出ましたのでね、これはもう無念の極みですけれども、もっと早くという、その気持ちはですね、私もありますが、今は、犠牲者に対して、きちっと報告できるように、規制を設け、また、大阪の例も、事務局の方で、検討、指示いたしまして、どう活かせるかというのを、今、検討しているようでありますが、来年、再来年で、この盛土規制法も施行されますので、それを見ながらやっていくという、今は、状況ですね。
(記者)
熱海土石流に関しては、行政対応検証委員会の方で検証されましたけれども、今、知事がおっしゃったような視点での検証というのはなされていないんですが、その点に関しては、あの、どうでしょうか。
(知事)
行政対応検証委員会の方は、どうしてああいうことが起こったのかを、有り体に、包み隠さずですね、関係者が資料を提供し、また、発言をするということで行われたと理解しております。
(記者)
行政対応検証委員会が開かれていた時には、まだ、この静岡の日向の盛土の問題というのが出てきてなくてですね、この、砂防条例の罰則が弱かったという話も一切出てきてないんですけれども。
(知事)
そうですね、砂防条例は御案内のとおりですね、治水砂防(正しくは、「治水上砂防」)でございますから、熱海のときには、これは、治水上の砂防ではないという判断であったのでですね、現行の、当時における現行の条例で対処したと。
(記者)
その、治水上砂防でないという判断というのも、そこも検証されてないんですけれども。それはなぜそういうふうに言えるんでしょうか。
(知事)
森林法と、土採取条例でできているという、そういう判断だったと思いますね。
(記者)
検証されていないということに関しては、いかがですか。
(知事)
砂防堰堤があるという他、また、あれは、あの、いわゆる侵食だとかですね、洪水とか、そういうのが起こって、堰堤が必要だ、砂防が必要だといった場合に適用されるもので、そうしたものでないと開発に関わるものなので、それは砂防法の適用ではないという、そういう判断をしていたと理解しております。
(記者)
開発行為に対しても、対象になるということは、先日、ここの知事の記者会見でも確認させていただいたと思うんですが。
(知事)
私もあなたが紹介していただいた本を読みましたけども、あくまでですね、開発の場合でも、治水上砂防の原則に照らしてというふうに、書かれておりますので、ですから、開発は、開発におけるこの適用の法律がございますから。そういう理解であります。
(記者)
ちょっとよくわかんないんですけれども、開発行為が対象にならないという理解だということですか。
(知事)
開発に関わるものでも、治水上砂防と関わる限りにおいて、砂防法は適用するというふうに書かれていたと思います。
(記者)
ですから、治水上砂防に該当するんじゃないんですかという話をしてるんですけれども。
(知事)
治水上砂防に関わらないと、また、治水上砂防に関わらせる前に、開発行為に関わる条例で対処できるという判断をしていたと。
(記者)
そのような議論は検証委員会の中ではありませんでしたが。
(知事)
このやりとりの中で。杉本くん、一言、補足することありますか、これに関して。
(砂防課長)
砂防課長の杉本です。砂防法の、この砂防指定地についての検証につきましては、昨年の7月28日に県の見解という形で、当時の難波理事の方からですね、皆さんの方に、この見解についてご報告させていただいていると、ところでございます。ですので、一定の県の中の検証としては済んでいるという認識でおります。
以上です。
(記者)
知事に伺いたいんですけど、
(知事)
同じことです。
(記者)
知事に伺いたいんですけども、この7月28日というのはもう検証委員会終わった後なんですね。なぜ、検証委員会の中で、そういった議論をしなかったのかというのを聞いてるんですけども。
(知事)
どうしてなの。
(課長)
すいません。あの、行政対応の検証委員会の中で、砂防法について、一応、項目としては出ているかと思いますが、それを、それ以降の、皆様からのこういう御指摘を受けて、この7月28日に再度、見直し。見直しというか、県の見解として、改めて皆さんにお示ししたというところだと思います。
(記者)
知事、今のところ。7月28日というのは検証委員会が終わった後なんです。報告書が出た後なんです。そこで県の見解を出してきて、それを検証と言えるのかどうなのか教えてください。
(知事)
ともかく、砂防法については項目として出ていて、先ほど言ったような、
(記者)
質問に答えていただけますか。
(知事)
検証と言えるかどうかですか。とりあえず、御指摘を受けたので、それで改めて見直したということで、こちらで、御発表させていただいたと。
(記者)
あくまでも県の見解ということでしょうか。検証ということではないということですね。
(知事)
行政対応検証委員会における検証は、検証すべきものを網羅して、そして、検証し終えて、報告書が来たというように私は理解しておりますので、そのときに漏れたものが、あったかどうかについてもですね、当然、重要なものになりますけれども、もう一度、その検証し直すようなほど重要なものであるというふうには、そこまで至ってないということであります。
(記者)
少なくとも県議会は、そこは検証不足だということをおっしゃってるんですけど。県民の代表ですね、県議会は。その点については。
(知事)
それぞれ4つほどの項目があって、適用の法令だとか、それから、県と市の連携だとか、県の関係部局の連携であるとか、いくつかございましたけれども、この件につきましてはですね、何ていいますか、おっしゃってることはよくわかりますけれども、基本的に、二度とこういうことが起こらないようにするには、どうしたらいいかという観点でございまして、1つ1つ、今、見ていただいたところ、うちの部局の方でですね、差し当たって、全てもう一度検証し直すというふうなところには至らないというのが、目下の。
(記者)
それは県の中の判断ですよね。
(知事)
そうですね。
(記者)
外部の方々にそれを判断を仰ぐというのが、検証ということではないんでしょうか。
(知事)
今は、それにつきまして訴訟でも論点になるかと思いますけれども、そういう場に委ねていいと思っております。訴訟に。
(記者)
再検証はしないということなんでしょうか。
(知事)
はい。
(記者)
それは、なぜ。なぜなんでしょうか。
(知事)
やるべきことをやったからだということであります。
(記者)
やるべきことをやってないから、県議会が、そういう報告書を出してきたんじゃないでしょうか。
(知事)
まあそういうように言うこともできるかもしれませんけれども、基本的に、二度と起こさないために、こういうこともできたのではなかったのかという観点での、ことですから。難しいところですけれども、再検証する必要があるかどうかということにつきまして、検証委員会の先生方はですね、そこまでする必要はないというように聞いておりますので、私どもとしましては。検証委員会の先生方が不足してるということで、そういう合意がられているのなら、必要でしょう。
しかし、そうではありません。
(記者)
いや、そういう理解ではないんですけど、私、委員会、傍聴してましたけれども、検証委員の先生方も、もし、別の論点があるようであれば、別の場で検証したらいいんじゃないかということをおっしゃってました。委員長も含めておっしゃってました。
(知事)
しかし、そういう要請は、静岡県の方に来ておりません。
(記者)
県議会の報告書の中にも、その辺書かれていますので、その辺は読まれてないということなんでしょうか。
(知事)
いや、読みましたよ。全部読みました。
(記者)
なぜ対応しないんでしょうか。
(知事)
これまでの対応で十分であるというふうに考えております。
(記者)
もう1点、土石流の関係で伺いたいんですけれども、先週、熱海の土石流の関係で、災害対策検討委員会という、砂防課が事務局になっている委員会ですけれども、最終会合が開かれました。その場でですね、逢初川の源頭部に、まだ、盛土が残されているんですけども、この廃棄物混じりの盛土の安定性ですとか、それから、逢初川の下流の、流下能力というんですけど、河川処理能力の問題については、議論の対象外ということで取り上げられませんでした。専門家からはですね、こうした問題もしっかり議論すべきじゃないかという意見も出ていますし、こうした問題がクリアされないと、水害リスクというのは、ある一定のところまで、軽減できないんじゃないかという意見もあるんですけれども、この議論の対象外にする、してしまうというか、あの、今、砂防法の話もありましたけれども、肝心なところを議論の対象外にする、検証の対象外にする。こういった、あの県の組織体質ですね、それについて知事、どのように考えてますでしょうか。
(知事)
一番、最上流部のところですね、当然、ここのところは、うちの担当がですね、調べております。ですから、この産業廃棄物が、その全体、その、源頭部全体のとこじゃなくて、その一部にございまして、それにつきましては、所有者の方が土をかぶせたという事実があるので、それを取っていただくようにですね、今、指導しているというところであります。残りのところは、産業廃棄物が目下のところ入っていないという、そういうあの、源頭部ですね。そして、
(記者)
すいません、質問に答えていただきたいんですけども、なぜ検証の対象外にしてしまうのか、そういった重要なことを。そういう組織の体質について、どう考えるかということなんですよ。
(知事)
組織の体質とは、関係ないと思いますね。そこのところは。そこのところを見た上で、Dというところですね。そこは、その完全に安全でないというふうに言うことは難しいですけれども、差し当たってですね、かなり上の方で、かつ、土質が、この、水を溜めにくいところであって、おって、そして、その全く地震で崩れないってことは言えませんけども、差し当たって、他のところと比べて安全というふうに言えるということからですねそういう判断を…
(記者)
そういう見解がある、県がそういう見解であれば、それを議論すればいいんじゃないんでしょうか。検証にかければいいんじゃないでしょうか。それを聞いてるんですけど。
(知事)
今は、それは、こちらの判断ではそこのところ安全であると。完全に安全とは言えませんけれども、通常、どこにでもこの危険が潜んでるというレベルにおけるですね、危険性はあるけれども、安全であると。
(記者)
結局、熱海の土石流も、盛土、10年前に、土採取条例で対応したときに、安全だと思ったから放置されたんですよね。違うんですか。
(知事)
違うでしょう。それは、あの、実際に見た者が1人いますけれども、県の職員でですね。過去10年間に、そのところは、危険、崩壊の危険性があるって言ってましたからね。あと、安全であるっていうのは、いわゆる…
(記者)
崩壊の危険があるというふうに言ってたんなら、なぜ対応しなかったのか。
(知事)
ほんとにそう思いますね。その人が辞めた後は、従来の通りですね、現場に行かなかったということで、先送りされて、悲劇になったということであります。
(記者)
ありがとうございます。 |